赤い世界。


僕の望んだ世界。


でも、結局一人なんだね。


一人が嫌で逃げたのに・・・一人にもどるしかないんだね。


皆いない。


誰もいない。


一人の世界。


嫌だ!!


一人はもう嫌なんだよ!!


誰でもいい。


傷ついてもいい。


傷つけてもいいから・・・僕を一人にしないでよ!!






もし・・・もしも、神様がいるのなら、お願いだから・・・昔みたいに皆と一緒に居させてください。






・・・・・・・・お願いだから・・・。






「そう・・・それが碇君の願いなのね・・・さよなら、碇君」






 
願いし世界は君のいない世界・・・


       






「・・・・はっ!!綾波ぃ!」


絶叫で目が覚めた。


前に一緒にいた赤い瞳の少女。


僕の夢はいつも彼女の一言で終る。


何度も、何度も・・・僕は彼女の名前を叫ぶ。


だけど・・・この声は届かなくて、彼女は僕に一言だけ告げると消えてしまう。



ナゼ、キミハイナイノ?


僕の目から涙が零れ落ちる。


この世界に来て1年。


何度も繰り返す、朝の儀式。


夢から覚める最後のビジョンは、君の一言と寂しそうな泣きそうな瞳。


君ガ連れてきてくれたこの世界は、確かに凄く魅力的なのかもしれない。


でも・・・この世界きて、すぐにわかったよ。


・・・君がいないって。


この世界に来て初めは凄く嬉しかった。


失ったはずの友達。


失ったはずの両親。


失ったはずの平和。


失った物が全てここにはある。


でも・・・。

君がいないんだ。


毎日、毎日。


僕は君を探し続けた。


でも、君が見つからない。


綾波・・・君は何故いないんだ。


ここにはアスカもいる、ミサトさんもいる、トウジもケンスケも洞木さんも・・・でも肝心の君がいないんだ。


あの時までは、君は側にいたはずなのに。


あの時までは、君の声が聞こえていたはずなのに。


君の声、君の温もり、君の匂い。


あの時までは確かに感じられていたのに。


今は、何処にも、君の存在が無いんだ。


僕は、君がいなくなった事に、気付いていなかった。


気づかずに僕だけこの世界にきたんだ。


気づいたのは全てが終った後。


全てが・・・遅すぎたんだ。


もうもどれない世界。


僕は、君を一人あの世界に残してきてしまったのだろうか?


だとしたら・・・。


僕は、君になんて謝れば良いのだろう。


君と一緒にいるから、僕は僕である事が出来たのに。


僕は・・・君に・・・。


もう一度会いたいと願っていたはずなのに。


君は・・・。



ナゼ、ココニイナイノダロウ?



君はまだ・・・赤い海を漂っているの?。



たった一人で、あの世界に・・・誰もいない、赤に染まった世界に。






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